ゲームにハマるワケ SCIモデル
こんにちは、私です。コンスタントに更新されると思った?私は全然思ってない。無理です。なんなら用意したものさえ全部出せるか自信がないです。っていうかこの記事がもう既に一か月ほど下書きのまま寝かされてましたが、モチベが上がる機会があったので重い腰を上げました。
さて、いくつかの記事で「文献読みたいならまずこれ」とオススメしてる「ゲーム研究の手引き」、“手引き”を参考にしたい入門者がざっくり読んでまず気になるのは「じゃあとりあえずどれ読むのがいいのかしら」ということだと思います。右も左も分からない素人としては、まずは一冊なんとなく色んなことがまとまっているような概説書や入門書など、教科書チックなものがあればそれをきっかけに深めていきやすいかな、と思うわけです。
それについて、手引きでは20ページあたりで人文系ゲーム研究の概説書としてAn Introduction to Game Studies: Games in CultureやUnderstanding Video Games: The Essential Introduction (English Edition)など具体例を挙げてくれています。
しかし残念ながら例によって案の定邦訳なんぞ存在しないらしい。いやはや困ったもんで、日本語で学びたい人はとっちらかった各種研究を自力でかき集めてまとめるしかなく、それが入門者にとって要らんハードルになってる気がするのでこういうブログを始めたわけです。
で、ゲーム研究の中で重要そう/関連がありそうなトピックについて記事で紹介していくつもりで、並行して書籍紹介とかもしたいなという気持ちはあるんですが、手引きの中でゲーム心理学における重要な研究成果として紹介されている「SCIモデル」、こいつについては日本語文献が見当たらないんですよね。いやなんでよ。
というわけで、今回はこいつについて元文献から私がざっくり(ざっくり!!!)読み取った内容をご紹介する記事としたいです。
SCIモデル
SCIモデル(Ermi & Mäyrä, 2005)とは、ゲームプレイ体験における没入を3つに分類し、それらとゲームプレイに関わる諸要素との関係を整理し、その構造を考察するためのモデルです。SCIとはそれぞれ
S:Sensory immersion
C:Challenge-based immersion
I:Imaginative immersion
の頭文字です。日本語に訳すならそれぞれ、感覚の没入、挑戦への没入、想像への没入とでも言いましょうか。
モデルとはあくまで考察の足掛かり、何かを理解することを助ける道具であってそれそのものではないことには注意が必要ですが、この図はプレイヤーが夢中になることとゲームの関係を表すアプローチの一つとしてなかなか納得感があるのではないでしょうか。
図を見てなんとなくピンとくる方には蛇足ですが、見方をざっくり推測するならこんな感じでしょうか。
・最も外側の構造としてプレイヤーとゲームの間には社会的な文脈がある。
・人がゲームをプレイするとき、人が持つ運動・認知・情動などの特性や動機付けによってその行為はただの物理的な動作から人にとって「意味ある遊び」になる
・プレイヤーとゲームの構造(ゲームシステムやシナリオ、ゲーム内世界)は、インターフェースを通して接触する
・ゲームの構造は挑戦への没入や想像への没入に影響する(ルール≒レベルデザイン→挑戦、世界≒グラフィックやサウンドなど→想像、など)
・インターフェースは感覚の没入に影響する
今回紹介したのは記事タイトルにあるような「ゲームにハマるワケ」そのものを問う研究ではありませんが、この図の中にはこれから触れたいトピックが数多く含まれています。
「ハマるワケ」については、何回かに分けていくつかの視点から先行研究を今後ご紹介するつもりです。
「これがあるからゲームにハマるのだ!」と断定するような話では間違ってもないのですが、「面白い」ってどういうことなんだろうという素朴な疑問への考え方の一例としてそれぞれお楽しみいただければ幸いです。
雑魚英語力なので図の部分しか訳してないしちゃんと読めてません。短い論文なので必要や熱意に応じて適宜元文献をご参照ください